建物の登記について

建物の登記について



①建物表題登記(建物を新築したとき)

建物表題登記

  法務局に登記するため家の形や広さなど調査して登記します。この登記をしないと「自分が持っている」「住宅ローンを借りる」という権利の登記ができません。


・建物(マイホームやアパートなど)を新築した場合
・まだ登記されていない建物を購入した場合


などに行う登記です。

(注)建物の完成後1ヶ月以内に、その建物の所有者が申請しなければなりません。
  まだ登記されていない建物を購入した場合には、その所有権を取得した人が、所有権を取得した日から1ヶ月以内に申請しなければなりません。


●不動産登記法第164条(過料)
  (中略)申請をすべき義務がある者がその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。

②建物表題部変更登記(建物を増築したとき、一部を取り壊したとき)

  「建物変更登記」床の面積を変更する登記申請です。

・家が手狭になったため増築した場合
・家が古くなったので一部取り毀しをした場合
・物置や車庫やを作った場合
・改築して、屋根の種類(スレート、瓦など)や構造(木造、鉄筋コンクリート造など)が変わった場合
・建物の種類(居宅、事務所など)を変更した場合

などに行う登記です。

(注)その建物の所有者は、1ヶ月以内に建物表題部の変更の登記を申請する義務があります。

③建物滅失登記(建物を取り壊したとき)

  「建物滅失登記」取り壊したことを法務局に申請します。この登記を忘れていると、課税対象の建物はこわしたのに税が継続して課税されたり、相続の時に不明瞭なことになります。


・建物を取り壊した場合
・建物が焼失した場合
・地震などで建物が倒壊した場合
・登記簿に存在しない建物が記録されている場合

などに行う登記です。

(注)その建物の所有者は、1ヶ月以内に滅失の登記を申請する義務があります。
(注)滅失登記を行わず、その土地に新たな建物を建てた場合、滅失登記および建物表題登記の両方を行う必要があります。

その他建物に関する登記

  建物に関する登記には、他にもいくつかあります。
以下でご紹介いたします。

④建物分割(複数の建物を分割する)登記

  一個の建物を数個の建物に分ける登記のことです。
分割登記により別々の建物として登記記録を作ることができます。

・主たる建物に付属建物(離れなど)がある場合
・銀行の融資の関係で、一部の建物のみ担保にしたい場合
・相続で各建物をそれぞれ違う人に相続させたい場合


などに行う登記です。

  建物の分割の登記は、建物の現状には何らの変更も加えることなく、登記上の一個の建物を数個の建物にする登記で、所有者の意思に基づいて申請することができます(申請義務はありません)。

  建物の所有者が死亡し、相続による所有権移転登記の前提として建物分割登記をする場合には、相続人から申請することになります。この場合、「相続を証する書面(戸籍謄本や遺産分割協議書など)」が必要です。

  また、抵当権などの権利が登記されている建物を分割する場合には、共同担保目録が必要な場合もあります。


(例)
分割登記
【分割前】
・主たる建物(居宅)
・附属建物1(事務所)
・附属建物2(倉庫)

3棟の建物が1個の建物として登記されている状態です。











【分割後】
・居宅

・主たる建物(事務所)
・附属建物1(倉庫)

居宅が1個、事務所と倉庫で1個、つまり2個の建物として分割されました。
この場合、倉庫は「事務所のものを収納すること」に利用されています。

※もしも、「居宅のものを収納すること」に利用されている場合は、倉庫は居宅の附属建物となります。

⑤建物合併(複数の建物を合併する)登記

  今度は建物分割登記とは逆に、数個の建物を一個の建物にする登記のことです。
別々の建物を一個の建物として登記記録を作ることができます。

・親族が所有していた居宅の隣に、建物(店舗)を所有していた。
 居宅を相続するにあたり、この二棟を一個の建物として合併したいという場合


などに行う登記です。

  ただし、合併しようとする建物が、主たる建物と附属建物の関係にないときや、双方の建物の所有者が違う場合には、合併は認められません。

  また、実体上の所有者が同一であっても、「所有権の登記がある建物」と「所有権の登記のない建物」は合併することができません。そして「所有権以外に権利の登記のない建物」と「抵当権等の権利の登記のある建物」も合併できません。

  建物の合併は、所有者が自由に申請できるのが原則ですが、合併することによって登記の原則を阻害することになる場合には合併が制限されているのです。


(例)
合併登記
【合併前】
・居宅

・事務所

居宅1個、事務所1個、計2棟の建物がそれぞれ別の建物として個別に登記されている状態です。









【合併後】
・主たる建物
  (居宅)
・附属建物1
  (事務所)

2個あった建物が、1個の建物として登記されました。

⑥建物合体(複数の建物を合体する)登記

  数戸の建物が、増築等の工事により構造上一個の建物となることを合体といいます。
建物が合体して一個の建物となった場合には、「合体後の建物」についての建物の表題登記及び合体前の建物についての建物の表題部の登記の抹消を申請しなければなりません。

・別々に登記してある複数の建物の間を増築して建物を繋ぎたい場合

などに行う登記です。


【図1】
  合体した建物は新たな建物として新規に表題登記され、合体前の建物の登記は抹消されます。
(注)この手続は、合体の日から1ヶ月以内に申請する義務があります。
合体登記1



































【図2】

  ただし、合体前の建物が「主たる建物と附属建物の関係」だった場合には、合体の登記ではなく、建物表題部変更登記をすることになります。

  また、「まだ登記されていない建物同士」を合体した場合については、建物の新築登記と同じ扱いになります。
合体登記2


⑦建物区分登記

  区分建物の正式名称は「区分所有建物」といいます。 そして区分建物表題登記とは、区分建物(マンションやアパート)を建てたら行う必要がある登記です。
区分建物は、「一棟の建物の中における各部屋が独立して利用できる建物」です。
所有者が個別に登記を行いたい場合、各部屋を別々に区分して登記を行う事ができます。

・一個の建物として登記されている賃貸マンションを分譲マンションとして販売したい場合

などに行う登記です。

  ただし、建物の区分の登記を申請するためには、区分しようとする建物が「構造上の独立性」と「利用上の独立性」といった要件を満たしている必要があります。


「構造上の独立」・・・壁や床、天井などで他の部分と区分されている状態のこと

「利用上の独立」・・・その区分建物が独立して利用できる状態であること


建物の区分の登記がなされると、建物は「専有部分」と「共用部分」に区別されます。

・専有部分
専有部分
区切られた室内空間のこと。例えばマンションであれば、居住者が専有する部分。

共有部分
共用部分
例えばマンションであれば、エントランス、廊下、エレベーターなど、居住者が共同で使う場所。

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