
自分はあまりこの仕事に不向きだと思う時もあります。この仕事が求めるものは忍耐と利他のように思われますが、それらが少々欠けているためです。利他とは、喜んで人の背景になることのようです。きっと、他のお仕事も全てこれなのだ、とも想像します。誰かがおっしゃっていましたが、調査士の仕事は「油絵のガクブチをつくる」こと。華やかなお仕事、成功者を時にうらやましく思うし、この仕事を憎みます。でもやっぱりこの地味さが好きです。
電話:0467-33-4928 FAX:0467-33-4938
〒247-0056 神奈川県鎌倉市大船3-4-7 エビスヤビル1F【土地家屋調査士という仕事】
土地家屋調査士という仕事は、一般的にはよく知られていません。その理由はそもそも調査士が日本に少ないことと、土地の測量や家屋の調査、不動産登記という、地味で専門分野的な仕事をしているからです。確かに派手さはありませんが、魅力的な仕事です。国家資格のため、試験をパスした者が登録しています。調査士だけができる独占業務があります。また過度の価格競争になじまない業種なので、仕事をひとつひとつ丁寧に扱うことができます。
測量作業も我々調査士の仕事の要の一つですが、ここで測量士との違いについても触れます。いずれも国家資格ですが、測量士は国や地方公共団体などの行う基本測量や公共測量を行います。一方の調査士は、不動産の表示に関する登記について必要な土地または家屋に関する調査・測量・申請手続きを行う点で、測量士との相違点があります。
この仕事の魅力は、仕事自体の内容だと思います。測量や実地調査という外の現場があることで身体を使います。不動産登記という法律、測量数学、測量キャドなどオフィスワークがあって頭も使います。さらに、話し合いや打ち合わせなど、人との折衝があり、頭だけでなく心もかなり使います。総合的全体的な仕事です。このように書くと難しく感じられるかもしれませんが、全く違う業種から転職して開業されている先輩方がたくさんいらっしゃいます。毎日毎日変化のある仕事です。
また、この仕事は不動産の状況を正確に登記記録に反映することで不動産取引の安全の確保、国民の財産を明確にするという意味で、公共的な意味合いが大変強い業務です。ですので、仕事に対する努力と苦労は社会のためになります。地味ですが確実に社会貢献できる仕事です。
私は学校卒業後、宅建主任者として12年不動産実務に就き、その後今の業界に20年ですが、未だに「勉強がスタートしたばかりだ」という気持ちでいっぱいです。土地家屋調査士という仕事の深さと広さに呆然とすることも多いです。能力の低い自分にふさわしくないかもしれないと不安になります。しかし勇気を持って皆さんとともに、もっと勉強したいと思います。